東北大学
タフ・サイバーフィジカルAI研究センター
シンポジウム2023

このシンポジウムは終了いたしました。
2024年開催のシンポジウムはこちらのページでご案内しています。

講演内容

講演1大町 真一郎 教授 

情報を確実に伝送する
高圧縮画像・映像符号化技術の開発

大町 真一郎 教授

全世界で生成されるデータの量は増え続けている。その中でも特に映像データはインターネットトラフィックの8割を占め、映像としての価値や必要な情報を損なわずに保存・伝送することが可能な高圧縮映像符号化技術を開発することが望まれている。本研究では、画像や映像から必要な情報を残していくための重量領域検出についての研究成果を紹介するとともに、機械学習を用いて画像や映像を高圧縮する取り組みについて述べる。

略歴:大町 真一郎 Shinichiro Omachi

1988年東北大学工学部情報工学科卒業。1993年同大大学院博士課程修了。博士(工学)。東北大学情報処理教育センターを経て、現在東北大学大学院工学研究科教授。パターン認識、画像処理、機械学習などの研究に従事。

講演2小島 匠太郎 助教 

革新的な移動を実現する
タフなロボット技術の開発

小島匠太郎助教

講演者は、ロボットの移動を革新する研究に取り組んでいる。自律移動ロボットにとって移動は本質であり、狭隘路や起伏のある環境では未だに多くのチャレンジが残されている。講演者は狭隘路で周囲の構造物に触れることでロボットの移動能力を向上させる研究や、狭隘路と広大な空間が混在する環境で安全性と移動効率を両立する研究に取り組んできた。本講演では、クローラロボットと大型自動ダンプトラックを例に、ロボットの新たな移動戦略について説明する。

略歴:小島 匠太郎 Shotaro Kojima

2021 年東北大学大学院情報科学研究科博士課程後期3 年の課程修了。同年より東北大学未来科学技術共同研究センター(NICHe) 助教。東北大学タフ・サイバーフィジカルAI 研究センター(TCPAI) 助教を兼務。災害対応ロボット・建設ロボットの自動化に関する研究に従事。博士(情報科学)。IEEE、 JSME、 RSJ会員。

講演3佐藤 雅之 准教授 

リアルタイム動画圧縮ハードウェアのための
メモリアーキテクチャ

佐藤雅之 准教授 

HEVCやVVCといった近年の映像符号化規格に基づくリアルタイム映像符号化ハードウェアでは、動きベクトルを探索するために膨大なメモリアクセスを効率的に処理する必要がある。本講演では、現状のハードウェアの分析とそこから得られた課題を解決する新しいメモリアーキテクチャ、最新の研究動向について解説する。

略歴:佐藤 雅之 Masayuki Sato

2012年東北大学大学院情報科学研究科博士後期3年の課程修了。博士(情報科学)。東北大学サイバーサイエンスセンター研究員、東北大学大学院情報科学研究科助教を経て、2020年より同研究科准教授を務める。高性能・低消費電力な計算機アーキテクチャを中心とした研究に従事。

講演4西村 太志 教授 

光ファイバーケーブルと
DASを利用した地盤構造探査

西村 太志 教授

光ケーブルに光パルスを入射し、光ケーブル内の不均質性から散乱されてくる波の位相がケーブルの振動とともに揺らぐことを検知するDASによる地震動計測は、最近5、6年の間に地球科学の分野で急速に広まってきた。数十kmにわたり測定間隔数mで計測できるこのシステムを利用することで、我々は、地震・火山現象の理解だけでなく、強震動予測に不可欠な地盤特性の把握のほか、橋脚等の構造物の固有振動、自動車の震動、大雨による土石流の震動などを捉えることができた。本発表では、これらのDASによる地震観測の現状と将来展望について報告する。

略歴:西村 太志 Takeshi Nishimura

東北大学大学院理学研究科教授  
1963年 愛知県安城市生まれ
1994年 東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻
博士課程後期3年の課程修了 博士(理学)
2012年~ 東北大学大学院理学研究科教授
2016年~ 文部科学省「火山研究人材育成コンソーシアム構築事業」実施責任者
2019年~ 建議「災害の軽減に貢献する地震火山観測研究計画(第2次)」企画部戦略室長
2020年7月~2022年6月 日本火山学会会長
書籍 「日本の火山性地震と微動」京都大学学術出版会
現代地球科学入門シリーズ 「6. 地震学」「7. 火山学」共立出版
専門 火山物理学、地震学

講演5藤原 直哉 准教授 

機械学習を用いた顕微鏡画像からの
ウイルス増殖判定自動化

藤原 直哉 准教授

細胞変性効果(cytopathic effect; CPE)判定を基にしたウイルス株の取得はワクチン開発、創薬、診断キット開発等のために不可欠であり、その判別は地方衛生研究所の重要な業務である。本研究の目的は、現在、地方衛生研究所などにおいて人力で行われている、CPEを目印としたウイルス増殖の特定について、ウイルス培養の顕微鏡画像を用いてウイルス同定を機械学習で自動化することである。また、画像からウイルス増殖のダイナミクスの適切なモデル化を行うことを目指す。発表では、衛生研究所より提供された画像を用いて学習を行った結果のほか、他の衛生研究所の提供画像に対する適用結果などについて報告する。

略歴:藤原 直哉 Naoya Fujiwara

2002年京都大学理学部理学科卒業、2007年京都大学大学院情報学研究科博士後期課程修了(博士(情報学))。Potsdam Institute for Climate Impact Research研究員、FIRST合原最先端数理モデルプロジェクト研究員、東京大学空間情報科学研究センター助教、東京大学生産技術研究所特任講師等を経て、2018年より現職。複雑ネットワーク上での非線形ダイナミクスとその応用に興味を持っており、最近は大規模人流データのネットワーク分析を中心として分野横断的に研究を行っている。

講演6渡辺 将広 助教 

太く短く高収縮でしなやかな
鼓型空気圧人工筋肉の開発

渡辺将広

空気圧人工筋肉は、軽量・高出力な特徴を有し、従来型が発明された1960年代以降、ソフトロボットのアクチュエータとして使われてきた。本研究では、鼓型という特異な構造によって、太く、短く、高収縮でしなやかという、これまでに無い特性を目指せる人工筋肉を紹介する。

略歴:渡辺 将広 Masahiro Watanabe

2013年 東京工業大学 工学部 機械宇宙学科 卒業
2015年 東京工業大学 大学院理工学研究科 機械制御システム専攻 博士前期課程 修了
2018年 東京工業大学 大学院理工学研究科 機械制御システム専攻 博士後期課程 修了
2018年 東北大学 大学院情報科学研究科 応用情報科学専攻 特任助教(研究)
2020年 東北大学 タフ・サイバーフィジカルAI研究センター フィジカル研究部門 助教

講演7安井 浩太郎 助教 

動物の多様な運動様式に通底する
制御原理の理解に向けて

安井浩太郎 助教

いかなる動物も身体を巧みに動かすことで効果的に移動することができるが、その運動様式は動物種や移動速度などに応じて異なり、実に多様である。もしこれらの多様な運動様式に通底する制御原理を理解することができれば、生物学への貢献のみならず、身体構造や移動速度の変化に呼応して、即時的に合理的な運動を生み出すことのできるタフなロボットの設計にも資すると期待される。本講演では、ムカデなどの多足類が示す多様な歩行パターンを再現可能なシンプルな運動制御則に関する研究成果を紹介したい。

略歴:安井 浩太郎 Kotaro Yasui

2011年一橋大学経済学部卒業。第一生命保険株式会社勤務を経て、2020年東北大学大学院工学研究科博士後期課程修了、博士(工学)。同年より東北大学学際科学フロンティア研究所助教。動物の自律的かつ適応的な運動知能の設計原理に関心があり、動物行動実験・数理モデリング・ロボット実験を通じて構成論的に理解する研究に取り組んでいる。

講演8鈴木 高宏 教授 

ロボット・AI・モビリティ関連技術と福島復興

鈴木 高宏 教授

福島県浜通り地域は、東日本大震災における地震・津波による被害に加え、原発避難の影響も重なり、地域の復興に重い課題を有している。ロボット・AI技術は当該地域の復興構想として掲げられる福島イノベーション・コースト構想における最重点分野の一つに位置づけられており大きく期待されている。モビリティ技術は、ロボット・AI技術の一応用分野という位置づけも持ちながら、一方でEVなどによるエネルギー分野との連携や、地域産業への応用となる農林水産など一次産業における活用、かつ地域の生活や産業を支えるまちづくりに重要なインフラ基盤といった側面を有し、地域や産業との連携を図る「橋渡し」の役割を含めて、現地における研究・教育および社会連携活動を行っている。発表ではその取組報告と共に、それを起点とした地方DX・人材育成基盤構築の構想提言について述べる。

略歴:鈴木 高宏 Takahiro Suzuki

麗澤大学 未来工学研究センター教授(兼)東北大学未来科学技術共同研究センター 特任教授、博士(工学)。1998年東京大学工学系研究科博士課程修了・学位取得、同大生産技術研究所講師、2000年助教授、2004年同大情報学環助教授、2007年同准教授。2010~2013年長崎県産業労働部政策監(EV・ITS推進担当)、2014年東北大学未来科学技術共同研究センター教授、2022年同特任教授.2023年4月より現職。この他、長崎総合科学大学 客員教授、東京大学大学院情報学環 客員教授。専門はロボティクス、非線形制御、ITS、科学技術コミュニケーション、産学連携・地域連携、先端技術社会実装など。日本機械学会、日本ロボット学会、計測自動制御学会、自動車技術会、IEEE、ITS Japan、研究・イノベーション学会など会員。