東北大学
タフ・サイバーフィジカルAI研究センター
シンポジウム2022

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講演内容

講演1岡田 佳都 特任准教授(フィジカル研究部門)

ロボットの認識・情報収集を支援する
色相別重畳マーカHueCodeの開発と応用

岡田 佳都 特任准教授

インフラ点検や災害対応ロボットの認識・情報収集を支援するための、移動体や環境に貼るだけで相対位置や任意情報を付加できる安価・小型・頑健なマーカHueCodeについての研究成果を紹介する。相対位置認識のためのARマーカや任意情報を格納できるQRコードといった複数のマーカを1枚の面積に重ね合わせる基本原理から始め、夕日や溶接光の下での認識を可能にする配色の最適化や、橋梁点検ドローンや工場内移動ロボットへの応用例についても説明する。

略歴:岡田 佳都 Yoshito Okada

2012年東北大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻博士課程後期3年の課程修了。日本学術振興会特別研究員、米カーネギーメロン大学Robotics Institute客員研究員、東北大学大学院情報科学研究科助教を経て、理化学研究所革新知能統合研究センター研究員 兼東北大学タフ・サイバーフィジカルAI研究センター特任准教授。これまで、福島第一原発探査に活用されたクローラ型ロボットQuinceやインフラ点検用飛行ロボットの開発に従事。博士(工学)。ロボット学会正会員。

講演2中谷 友樹 教授(サービス研究部門)

微細な地理情報による
空間疫学の高度化に向けて

中谷 友樹 教授

発表者らの研究グループでは、都市空間における詳細な健康の地理的格差とこれに関連する都市環境の解明に、地理情報科学の立場からアプローチしている。地理的参照づけのある疫学情報の拡大、GPSや景観画像などに関する新しい地理情報処理を利用した都市環境の計測に関する近年の成果と、これを利用した「健康になれる街」をめぐる空間疫学研究の可能性を紹介する。

略歴:中谷 友樹 Tomoki Nakaya

1997年 東京都立大学大学院理学研究科地理学専攻博士課程を修了、博士(理学)、1997年 立命館大学文学部専任講師、2000年 同助教授、2007年 同准教授、2012年 教授、2018年より東北大学大学院環境科学研究科・教授(現職)
専門は地理情報科学の諸技術を利用した地理的視覚化・空間解析の方法論、近年はその空間疫学、犯罪予測への応用を重点的に展開している。

講演3張山 昌論 教授(HPC/計算モジュール研究部門)

Society5.0時代を切り拓く
カスタムスーパーコンピューティング

張山 昌論 教授

Society 5.0を実現するためには, AI, ビッグデータなどの膨大な計算処理を高速かつ低エネルギーで実現する新しいタイプのスーパーコンピューティングが必要となる。本研究室では、この目的に向けて、応用に応じて最適な回路を構成できる再構成可能集積回路(FPGA)を活用した様々なカスタムスーパーコンピュータのアーキテクチャ・設計技術を研究している。本講演では、開発事例を紹介しながら、カスタムスーパーコンピューティングの現状と展望を概説する。

略歴:張山 昌論 Masanori Hariyama

1992年3月 東北大学工学部情報工学科卒業
1994年3月 東北大学 大学院情報科学研究科 博士前期2年の課程修了
1997年3月 東北大学 大学院情報科学研究科 博士後期3年の課程修了
1997年4月 東北大学情報科学研究科 助教
2003年4月 東北大学情報科学研究科 准教授
2016年8月 東北大学情報科学研究科 教授

講演4森 一郎 教授(AI研究部門)

技術と革命の哲学
――ハイデガーからアーレントへ

森 一郎 教授

近代という時代は、新しいものを生み出しては古いものを乗り越えることを事としてきた。われわれ現代人は、とりわけ、技術によって新しい時代をひらくことをめざしている。ではいったい、「新しい始まり」はいかにして起こるのだろうか。この問いに取り組んだのが、ハンナ・アーレントの第二の主著『革命論』(英語版1963年、ドイツ語版1965年)である。「始まり(プリンキピア)」に挑むこの高度に哲学的な問いが、「IT革命」や「AI革命」をめざす人びとにとっても決して無縁でないことを示したいと思う。

略歴:森 一郎 Ichiro Mori

東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。東京大学文学部助手、東京女子大学文理学部教授などを経て、2014年より東北大学大学院情報科学研究科人間情報哲学分野教授。専攻は、現代における哲学の可能性。単著に、『死と誕生』(和辻哲郎文化賞)、『死を超えるもの』、『世代問題の再燃』、『現代の危機と哲学』、『ハイデガーと哲学の可能性』、『核時代のテクノロジー論』、『ポリスへの愛』。単独訳書に、アーレント『活動的生』(日本翻訳文化賞)、ニーチェ『愉しい学問』、ハイデガー『技術とは何だろうか』。

講演5福原 洸 助教(フィジカル研究部門)

動物の形態機能から切り拓く
タフな自律移動ロボットの設計原理

福原 洸 助教

動物は無限的な環境を縦横無尽にタフに動き回ることができる。そのしなやかな動きは、脳などの上位中枢の神経系の作用のみならず、脊椎以下の神経回路網や局所的な反射、そして精巧な身体構造の調和によって発現していると考えられている。しかしながら、そのメカニズムの多くは謎に包まれている。本発表では、ロボット学と解剖学の連携により動物の形態機能や運動制御を明らかにする試みについて紹介する。そして、多芸多才でタフな自律移動ロボットの設計論の展開に向けて議論する。

略歴:福原 洸 Akira Fukuhara

東北大学電気通信研究所 助教。博士(工学)。専門は、自律分散システム、生物規範ロボット。動物が示す即時適応的な振る舞いの背後にある制御メカニズムや形態機能の理解に取り組んでいる。2018年3月、東北大学大学院工学研究科電気エネルギーシステム専攻博士後期課程を終了し、電気通信研究所学術研究員を経て、2018年10月より現職。

講演6岩崎 裕江 特任教授(HPC/計算モジュール研究部門)

次世代映像符号化(VVC)向き
ハードウェアアーキテクチャ

岩崎 裕江

日本の社会インフラの1つである地上デジタル放送の高度化の実現には、最新映像符号化国際標準規格(VVC)のハードウェア化を実現する必要があります。本講演では、VVCのハードウェア化を実現するための取り組みを紹介します。

略歴:岩崎 裕江 Hiroe Iwasaki

1991年筑波大学 第三学群 情報学類卒業。2006年 博士(工学)。
1991年より、NTT研究所勤務。2020年7月より、東北大学タフ・サイバーフィジカルAI研究センター特任教授。NTTエレクトロニクスのクロスアポイントメント。現在に至る。
映像処理プロセッシングに関連する技術に興味を持ち、特に、映像符号化LSIのアーキテクチャに取り組んでいる。電子情報通信学会、情報処理学会、IEEE各会員。

講演7藤原 直哉 准教授(サービス研究部門)

複雑ネットワークにおける感染拡大分析

藤原 直哉 准教授

感染症の拡大において、接触の非均一性が重要であることが近年指摘されている。そのような非均一性を扱う枠組みとして、ネットワーク分析の手法がある。
本講演では、ネットワークに感染症モデルを拡張した際の挙動や実際の接触ネットワークの構造、また人流を用いた分析の結果やネットワーク構造推定の試みなど、最近の研究動向の紹介を行う。

略歴:藤原 直哉 Naoya Fujiwara

2002年京都大学理学部理学科卒業、2007年京都大学大学院情報学研究科博士後期課程修了(博士(情報学))。Potsdam Institute for Climate Impact Research研究員、FIRST合原最先端数理モデルプロジェクト研究員、東京大学空間情報科学研究センター助教、東京大学生産技術研究所特任講師等を経て、2018年より東北大学大学院情報科学研究科准教授。複雑ネットワーク上での非線形ダイナミクスとその応用に興味を持っており、最近は大規模人流データのネットワーク分析を中心として分野横断的に研究を行っている。

講演8伊藤 彰則 教授 (AI研究部門)

コロナ禍における遠隔学習支援ロボットの開発

伊藤 彰則 教授

コロナ禍において大学の多くの授業がオンラインになったが、実験・実習など作業と直接の指示を必要とする授業はオンラインでの実施が困難である。すべてをVR空間上で行うアプローチも提案されているが、製図や組み立てなど、身体的な作業を必要とする実習では完全にVR上で実習を行うことは難しい。一方、テレイグジスタンスロボットの研究は盛んであり、この技術を使って、教員が対面で指導を行うのと同等の効果が得られる可能性がある。本研究の目的は、実験や実習など、直接指示することの学習効果が大きい科目において、遠隔指導ができるロボットを開発することである。発表では、実際に作成したロボットの概要、利用者アンケートの結果などについて述べる。

略歴:伊藤 彰則 Akinori Ito

1991年東北大学大学院工学研究科博士課程修了。東北大学情報処理教育センター、山形大学工学部を経て、現在東北大学大学院工学研究科通信工学専攻教授。音声対話を中心とした人間・機械インタフェース、音声情報処理、音楽情報処理、外国語教育システムなどの研究に従事。工学博士。